サトノダイヤモンドの衝撃の「きさらぎ賞」から一年。伝説を受け継ぐサトノアーサーの走りに注目。

去年のきさらぎ賞。そこには王者の風格を漂わせるサトノダイヤモンドがいた。

レースは、圧倒的人気に推されていたサトノダイヤモンドが2着に0.6秒差をつける圧勝劇だった。他馬を寄せ付けないその走りはただただ強かった。「ひょっとしたら三冠取るんじゃないか?!」僕はその時そう思った。

しかし皐月賞はディーマジェスティの3着、ダービーはマカヒキの2着に破れた。母系が今ひとつ貧弱でスピード寄りであったサトノダイヤモンド。「ひょっとしたら終わったのか?」そう思ったりもした。しかし秋の大活躍。菊花賞を制し、暮れの有馬記念では古馬の大将格であるキタサンブラックをねじ伏せての勝利。きさらぎ賞で見たサトノダイヤモンドの本来の姿をようやく見ることができた。

あのきさらぎ賞から一年。「サトノ」の称号を持つ新たな一頭が出走する。その名はサトノアーサー。

新馬、500万下を連勝し、きさらぎ賞へと駒を進めてきたサトノアーサー。サトノダイヤモンドと同じようなローテーションであり、父は同じくディープインパクト。前走で見せた上がり32.7の末脚は見事だった。新馬戦は勝ちはしたものの(同着)、やや期待外れな部分も無くはなかっただけに、シクラメン賞の快勝劇で改めて見直した部分が少なくない。やはり強いな、と。

血統的にはサトノダイヤモンドと同じく父はディープインパクトであり、母系も同じようにスピード寄りの血統となっている。サトノダイヤモンドの母父はOrpenというマイナー種牡馬で、サトノアーサーの母父はRedoute’s Choiceとオセアニアでは大種牡馬であるが、世界的にはマイナー寄りと言えるだろう。どちらの馬もなんとなく似たような血統構成だなと感じたり。

サトノアーサーの母キングスローズはニュージーランドの1000ギニー勝ち馬なので仕上がり早のスピードタイプと言える。そしてこのキングスローズの血統を見てみるとかなりノーザンダンサーが濃い。

またRedoute’s Choiceの父デインヒルの母母Spring Adieuはノーザンダンサーの半妹であり、Natalmaのクロスも成立。かなりインブリード強めな血統なんだなぁと。

Redoute’s Choiceは現役時代は名スプリンターでならし、種牡馬入り後もその自身スピードを産駒に伝えて大成功している。ただ母系に入ると距離の融通が効くような感じもあるので、サトノアーサーも1,800mは全く問題無いだろうし、万能型のディープの血が強そうなので、先輩サトノダイヤモンド同様、クラシック以降も期待できそうではある。